患者負担大幅軽減未承認抗がん剤使用などで政府は昨年末、保険診療と保険外診療の併用を認める混合診療の対象を拡大する方針を決めた。今回の改革で、患者の負担や利便性はどうなるのか、まとめた。 【未承認薬使用】現在は、海外で使用されていても国内では未承認の抗がん剤を使った場合、本来なら保険適用となる入院料などまで全額が患者負担となる。こうした未承認薬について、厚生労働省は近く設置する「未承認薬使用問題検討会議」(仮称)で、併用を認める「治験」の対象にできるかを申請後3カ月以内に判断。治験から保険適用までの間も、併用を認めるように改める。 規制改革・民間開放推進会議のヒアリングで発言した患者の説明によると、現在は未承認抗がん剤約30万円のほか診察料など通常の治療費約60万円も自己負担となるため、最低でも月計約90万円掛かる。 併用が認められれば通常の治療費部分が保険適用になり、この分の支出は3割自己負担の18万円で済む。この18万円については、高額な医療費負担を軽減する「高額療養費制度」の対象となる。 【制限回数を超えた医療行為】胃がんとの関連が指摘されているピロリ菌の除去は、現在は2回までしか認められていない。3回目以降は診察料などを含むすべての治療が保険外の扱いとなり、全額が患者負担だ。 今後は、3回目以降のピロリ菌除去は患者が実費を負担、診察料や処方料など基本的な治療費には保険が適用され、3割を支払うことになる。 現在、月1回に制限されている、がん細胞の増え方を調べる腫瘍(しゅよう)マーカー検査も、同様の扱いとなる。 ただ、今後の専門家の検討で、回数を超えて治療を行う必要性が医学的に明確になれば、その治療が保険対象となる可能性もある。そうなれば、患者の支払いは保険の3割自己負担分だけで済むことになる。 【その他】乳がん手術で失われた乳房の再建手術は、現在は両手術を連続して行うと全体が保険外診療になるが、再建に使う材料を治験の対象とすることで、同時に手術を行っても乳がん手術部分は保険の適用が認められるようにする。 また、舌がん手術後の舌形成、子宮筋腫の動脈塞栓(そくせん)療法、盲腸ポート手術など必ずしも高度でない、保険の対象外の技術については、保険対象とするかの評価を行う「保険導入検討医療」(仮称)として保険との併用を認める。 ジャンル別一覧
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